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昔に比べて競走馬のスピードは速くなっている!?

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スーパー馬


2週間ほど前、競馬的におもしろい研究が発表されて話題を集めましたね
その名も「競走馬は速くなってきている」(原題:Racehorses are getting faster)。
従来は速くなっていないとされた競走馬のスピードが、
実はこれまで速くなり続けていたという結果が出たというものです。

そこで、論文の原文も一般公開されていますので、
今回は話題の"Racehorses are getting faster"の研究について見ていきましょう。


※以下3つはクリックで展開

論文原文へのリンク


◯当ブログ的翻訳



◯おまけ:忍殺語めいたヴァージョン





※以下本文

◯研究の主張・結果


研究の結果としては以下の3点があげられています。

①競走馬のスピードは現在でも速くなり続けている。
②スピードに著しい進歩がみられるのは短距離のレースおいてである。
③年代によってスピードの向上率にバラつきがある。

①は新しい研究独自の結論であり、従来の研究や説に反した結論になっています。
従来の研究では、競走馬のパフォーマンスはすでに限界を迎えたか、
もしくは頭打ちに近い状態にあるとされていました。
その影響で、一部では競走馬の能力は遺伝的に限界を
向かえたのではないかとも言われるようになっていました。
そのような中、従来とは違う統計の取り方を用いた新しい研究は、
競走馬のスピードが1850年から2012年の間ずっと速くなり続けていたとの結論を得たのです。


②に関しては、距離別に競走馬のスピードの向上率を見ると、
中・長距離に比べて短距離での伸びのほうが著しい傾向にあるということです。
逆にいえば、中・長距離のレースでは
競走馬のスピードにあまり変化が見られていないということでもあります。
従来の研究は中・長距離の重賞レースを中心に分析していたとのことですので、
その点では新しい研究と従来の研究の主張に一致が見られます。


③は年代ごとの競走馬のスピード向上率が一定でないことを表しています。
論文中では、競走馬のスピードは1850年から1910年にかけて急激に向上し、
その後1975年まで停滞気味に推移していたことが指摘されています。
また、論文中ではこの向上率の傾向は、騎手の騎乗スタイルの変化などによって
引き起こされている可能性があると過去の論文を参考に指摘しています。


◯研究手法について


新しく発表された研究が、従来の研究と違うところは主に3つ存在するとされています。

①重賞レースの勝ち馬以外も分析対象にしたこと。
②短距離レースも分析対象に含めていること。
③馬場状態などのタイムに影響する要素を考慮したこと。


新しい研究によると、従来の研究は主に中・長距離の重賞レースを分析対象にしており、
馬場状態などのタイムに影響を与える要素はあまり考慮されていなかったとのことです。
それゆえ、従来の研究は非常に狭い範囲で競走馬の能力の変化を検証していました。

その点を解決するために、新しい研究では1850年から2012年までの
グレートブリテンの芝平地競走から重賞以外のレースや勝ち馬以外のタイム、
さらに短距離レースが分析対象に定められています。
その分統計に使用されるデータ量も多くなっており、
データの数は合計616,084レースと70,388頭の馬にもおよんでいます。
また、レースに関しては距離、馬場状態、出走頭数、競馬場、計測方法などの要素、
馬に関しては性別や年齢などの要素が検証のために使われています。


そして、データをもとに歴代の競走馬のスピード向上率を検証するために、
研究では競走馬のスピード推定値を出すモデルが作成されています。
作成されたモデルはモデル1と2の2つで、
モデル1では競走馬のスピードが向上しているのか否かを判別し、
モデル2では距離別での傾向を把握するなどの詳細な分析が行われているようです。


◯課題や議論など


論文上では、競走馬のスピードに影響を与えるとされる要因が多く、
どの要因が競走馬のスピード向上にどれほど影響を与えているかを
特定するには至っていないとされています。
例えば、競走馬のスピードに影響を与えるのは生産や遺伝的なものだけではありません。
現に、これまでの研究では1900年代に競走馬のスピードが向上した大きな要因として、
騎手の騎乗スタイルの効率化があげられていることが論文上でも指摘されています。

さらに、論文では全ての要因を考慮したうえで、
競走馬のスピードの変化を計測するのは難しいとしています。
多くの要素を考慮したうえで、各要因の影響度合いを測るのはほぼ不可能であるためです。
例えば、論文上では斤量が無視した要素の一つとしてあげられています。
斤量はスピードに影響を与える要因ですが、
強い馬は重い斤量を背負うのが当たり前であることから、
競走馬の詳細データのみをモデルに含めば十分であるとしていたようです。
しかし、競走馬が背負う斤量について検証してみると、
時代と共に背負う斤量が重くなってきている傾向があるとのことです。
そのうえで、もしかしたら斤量の増量が、競走馬のスピードが向上した分を
相殺しているのかもしれないとの仮説が提唱されています。

また、論文上では騎手の取る戦略もスピードに影響を与える要因として挙げられていました。
タイムを基準に競走馬のスピードが計測される以上、
道中のペースによって統計結果が左右される可能性が否定できないためです。
例えば、日本の競馬では、道中の折り合いに専念してレースのペースを無視して
トロトロ走らせることを揶揄する「折り合い選手権」などという言葉があります。
もしこの「折り合い選手権」が世界的な傾向で、グレートブリテンの競馬でもみられる類のものであれば、
中・長距離のレースで進歩が見られないという傾向は
ほぼすべて騎手の戦略が原因で引き起こされているという可能性もでてきます。


◯まとめ


最後にまとめると、この注目の研究の手法、分析結果、課題は以下のようになります。

手法
研究対象グレートブレテンの芝の平地レース
合計データ数616,084レース・70,388頭の馬
詳細
短距離戦、中距離戦、長距離戦を含むデータ、
重賞と条件戦の双方のデータ、
(1997年以降は)負け馬のタイムも推測の上に取得。


使用されているデータ
レースの開催年
レースの開催場所
レースの距離(単位:ヤード)
馬場状態(数値化)
タイム計測手法(手動・自動)
レースの完走頭数
馬名
性別
年齢

分析結果
①競走馬のスピードは速くなり続けている。
②短距離のレースでは進歩が著しい。
③中・長距離レースではあまり進歩が見られない。
④年代によってスピードの向上率にバラつきがある。


課題など
①競走馬のスピードが速くなった原因が不明。
②同時に要因の影響度合いが不明。
③考慮してなかった要因の影響が未知数。


とりあえず、競走馬のスピードの変化に対し、
新たな観点から新たな仮説を導き出しているところが一番注目な点でしょうね。
停滞気味だといわれていた競走馬生産界にとっては、
一筋の光が見えたような感じじゃないでしょうか。

もっとも、別の研究者が同様の研究を行うまで結論は出なさそうですね。
計算ミスや統計ミスがある可能性や、
別地域でデータをとったら逆の結論が出るという可能性もありますので。
その意味では、今後出てくるであろう同様の研究も注目ですね。


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~ Comment ~

 

興味深い内容ですね。
中長距離が折り合い選手権と言われて久しいですが、競走馬の距離適性の短距離化によって中長距離で積極的な競馬をする馬が減ったのだとしたら中長距離のタイムの停滞を駆け引きで割り引く必要はあまりないのかもしれませんね。

Re: NoTitle 

ドーモ、331=サン。馬主のようでそうでない人です。

論文内でも「ステイヤーの淘汰(生産戦略の変化)」は、「中・長距離での遺伝的能力の限界」と共に
短距離でのスピード向上要因の有力候補として挙げられていますね。
仮説が立ったからには、おそらく今後はステイヤーの淘汰仮説に関する検証と研究も出てくると思われます。

ともあれ、これまで主流だった考え方に対する説が出てきたことで、
競走馬の能力についての研究も盛んになっていけば面白そうですね。
  • #153 馬主のようでそうでない人 
  • URL 
  • 2015.07/13 02:11 
  •  ▲EntryTop 

NoTitle 

アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?


取り乱しましたが、馬主のようでそうでない人さんこんばんは。
これは興味深いデータですね、競走馬が速くなっているとのことですが、
色々な要因があると思いますし、難しいテーマですね。

個人的な意見ですが、ステイヤーが淘汰されてきたというのが短距離でのスピード向上の要因の一つではと思います。
また、スタミナとパワーで長距離を走るというより、
スピードをいかに維持できるかという持久力で長距離を走る馬が多くなったということも、
結果として短距離のタイム向上につながっているのではないかと思います。
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