リアル競馬ネタ

新種牡馬の決意 ~ダービー馬の苦悩~

 ←JRA賞補足 →競走馬のセカンドキャリアと流通経路
※この物語はネタフィクションです。

リクサラ

 1月、それは12月から解禁される就職活動が一層本格化していく時期である。
これから数か月の間、人の世ではリクルートスーツを着用した団体が激しい競争にさらされる。
受験界でも、センター入試を皮切りに競争はさらに激化していく。

 競走馬にとっても出世競争は過酷を極める。
産まれた時からすぐに競争にさらされるのだ。
まず、出自(血統)と見た目で待遇が確定した後、その後は競走馬としてのキャリアを進むことになる。
繁殖の道へ進むか、乗馬としての道を進むか、生涯競走馬として過ごすか、年金生活を送るか・・・
競走馬は、その現役成績に基づいてキャリアを進める。
ただし、これらの道はすべて狭き門である。競走馬になる段階の選別でも脱落馬は多数発生する。
もちろん、過酷な競走馬の世界では、脱落はそのままの意味でこの世から脱落の脱落を表す。
最大手の社○系列の種牡馬のポストなどは、大半の競走馬にとっては夢のまた夢の世界であるのだ。

 しかし、それでも競走馬達はこの過酷な競争環境に身を置くことを選び、そして適応してきた。
競馬の世界には"三大始祖"なる言葉が存在する。
"三大始祖"、それは現存するすべてのサラブレッドのルーツはすべてこの3頭にたどり着くというものだ。
競走馬は、過酷な競争にさらされることを選ぶことで、この三大始祖の系統を守り抜いてきた。

 今回はそんな過酷な競争環境の中で、長年のニート生活から抜け出し、
見事にエリートコースに返り咲いた一頭の新種牡馬を追っていく。

 1月の某日某所、競争に勝ち残り種牡馬になったエリート軍団が集まっていた。
「アローの顕彰馬候補さんがやられたらしいぞ・・・。」
「牝馬に負けた、ダービー1番人気の会所属のあいつか。血統だけでこの道に進むとろくなもんじゃねぇな。」
「でも、ディープんとこの兄とやらはうまくいってるみたいじゃねぇか。」
こんな会話が聞こえてくる。
種牡馬というエリートコースに進んでも、競争は終わったわけではない。
業績が伴わなければ問答無用で解雇通知が飛んでくる。当然、人の世のように労働保護法などは存在しない。

 そんな集団の中に一頭の男がいた。
2009年のダービー馬、ロジユニヴァースだ。
生まれた時から脚の問題に悩まされ続け、次第にはニートと呼ばれるまで落ちぶれた彼であったが、
今年から晴れて優駿SSに種牡馬として配属されることが決定した。

 「正直、きびしいですよ」と男は語る。
種牡馬の世界は、血統と実績が全てをいう世界だ。
血統か成績のいずれかが悪ければ、良い待遇を得るどころか種牡馬枠に入ることが叶わないこともある。
加えて、中途採用やアウトソーシングが非常に盛んな業界だ。
今年はアメリカからヘッドハントされてきたヘニーヒューズが、同じ優駿SSに到来している。
すでにGⅠ馬を排出しているうえに、今期待のヘネシーの血統を持っている期待の新入種牡馬だ。
ロジユニヴァースにとって、彼は同期入社の大きな壁である。
それでも、男は選ばれし優駿SSの種牡馬入社枠に滑り込むことができた。
しかし、その道のりは苦難の連続であった。

 2009年5月31日、この日、男はキャリアの絶頂期を迎えた。
信頼した鞍上の横山騎手にささげたダービーの称号。同期の頂点に立ったのだ。
評価を上げ一度は挫折を味わったものの、この後のキャリアはバラ色であろうと思われていた。
そんな矢先、男を悪夢が襲う。
産まれて以来彼を悩ませ続けていた脚が、男を再び悩ませることになった。
走りたくても、満足に走れない。そんな苦悩の日々を送ることとなったロジユニヴァース。
レースにも出走出来ず引退の2文字がちらつき、就種牡馬活動を始めることにした。

 本来ならダービーの称号は種牡馬としては十分なものであった。
しかし、産まれながらにして抱え続けた脚の問題が再び男を襲う。
種牡馬のあこがれである社○系列の企業に猛アタックした。
だが、華々しい種牡馬を抱える○台系列の前に、ロジユニヴァースは落とされ続けた。
「この脚の弱さじゃ、もっと実績がなければ・・・。」と某社○系列の種牡馬採用担当がつぶやくのが聞こえた。
男は現役続行を決意した。

 ただし、世の中そう簡単にはいかない。
空白の期間や低調期が続けば、種牡馬としての自己の価値も下がってしまう。
現役続行は、賭けであった。

 それでも、男はあきらめていなかった。
体調調整に苦戦しつつも、復帰初戦で1番人気に推され6着。
続く復帰2戦目のGⅠでは13着であったが、復帰3戦目札幌記念で2着に粘りこんだ。
「いける、まだやれる」。男は確信した。

 しかし、再び彼の脚が悲鳴を上げる。今度はトモに痛みが走った。
復調の矢先の怪我、そして未来のキャリアに対する不安が男を襲った。
出走表明と回避を繰り返すだびに、男の闘志は消えていった。
激しい競争にさらされたことで、男にとって走ることが苦痛になってしまった。
結局、2011年に彼はターフに姿を現すことはなかった。

 空白の1年間は現役競走馬としても種牡馬としても致命的であった。
この空白の1年間によって、彼のファンは増えることになった。
世間で、彼のプロリハビラーやニートとしてのキャラが確立していったためである。
しかし、競争の世界ではこの経歴は役に立たない。
「目指すは種牡馬のみ」
走るのが苦痛となりニートとなっても、ダービー馬としてのプライドを男はまだ保っていた。

 2年ぶりの復帰戦、ロジユニヴァースは馬群を追走することもできず最下位に沈んだ。
走る気をなくした男に、復帰の可能性は残されていなかった。
「もう引退しよう・・・。」関係者、そして男自身が思った。
だが、体質の問題と空白の1年間が種牡馬としての足かせになっていた。
社○系列の大牧場では雇用される見込みはない。それは明らかなことだと思われた。

 だが、そんなロジユニヴァースに、二つのオファーが舞い降りた。
一つは、フランスからであった。ヘッドハンティングである。
近年の日本馬の凱旋門賞の好走を受け、好待遇を提示してきたのだ。
二つ目は優駿SSからであった。ダービー馬の血を残したいと強く望んでいた。
男は、魅力的なフランスのオファーを前にして頭を悩ませた。
世界に自身の系統を広げる。それは悪くないことであった。
しかし、男はオファーを断った。

 ダービー馬の使命とは、国内の競馬を盛り上げること。そう男は心に決めていた。
「向こうに行かれちゃうと、会えなくなりますから・・・。決断を聞いたらうれしくなりましたね。」
そう答えた男は、オーナーの久米田であった。
「彼には、まだまだお礼しないといけないといけません。」
久米田は、今後のロジユニヴァースをバックアップすることを心に決めていた。

 そうして、今では優駿SSにロジユニヴァースの姿がある。
期待の新入ダービー馬として、すでに多くの問い合わせを受けているようだ。
「ダービー馬として、これからの競馬を盛り上げていきたいです。」
そう語る男の目には、再び闘志がみなぎっていた。
2014年、ロジユニヴァースは種牡馬として、再び戦いの場へと立ち向かう。

○おまけ
ロジユニさんの履歴書
ロジネタ

 2014年の新種牡馬としてはロードカナロア、オルフェーヴル、ヘニーヒューズなどが出てきますが、
ロジユニ様も種付け頭数は集まりそうみたいですね。
スポンサーサイト



記事一覧  3kaku_s_L.png 未分類
記事一覧  3kaku_s_L.png 本家ネタ
記事一覧  3kaku_s_L.png リアル競馬ネタ
記事一覧  3kaku_s_L.png 競馬(?)ネタ
記事一覧  3kaku_s_L.png 海外レース紹介
記事一覧  3kaku_s_L.png アンケート企画
記事一覧  3kaku_s_L.png 製作中報告
記事一覧  3kaku_s_L.png ニコアプリネタ
記事一覧  3kaku_s_L.png 競伝関連まとめ
記事一覧  3kaku_s_L.png Frankel in Japan

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

【JRA賞補足】へ  【競走馬のセカンドキャリアと流通経路】へ